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市民連合「平成30年度予算制度・政策に関する要望書」.pdf

 

Ⅰ.「子育て・教育の未来都市」の実現に向けて
    (子育て・教育・学習 分野)

1.市民の結婚・出産の希望をかなえる支援

1-1.市民の結婚・出産の希望をかなえる支援
1) 【結婚の希望をかなえる支援の充実】
結婚を願う市民の希望をかなえるため、出会いの場の創出や、結婚・家庭観を育む教育の充実に努めるとともに、とちぎ未来クラブ等との連携を強化し、市民の結婚の希望をかなえる支援を充実させること。

2) 【出産の希望をかなえる支援の充実】
出産に係る費用負担の軽減に継続して取り組むとともに、経済的な理由などによる子どもを持つ不安の解消にあらゆる面から対策を講ずること。 また、子どもを授かりたい市民の希望に寄り添うためにも人工授精や不妊治療等に対する経済的な支援の充実及び、最新医療の提供を受けられる市内の医療体制整備を行い、出産の希望の実現に努めること。

 

2.充実した子ども・子育て支援制度の構築【重点項目】

2-1.子ども・子育て
1) 【産前・産後ケアの充実】
産前・産後における母子の不安定な心身の状況や、産後うつ等による児童虐待を防止するため、妊産婦検診や産後ケア事業の充実を図るとともに、こんにちは赤ちゃん事業等を通じた訪問指導等による早期発見・早期ケアの制度を充実させること。 また、事業に必要となる保健師等の体制整備を確実に行うこと。

2) 【保育需要への対応】
子育ての切れ目のない支援環境を構築するため、保育所の年間を通じた待機児童の完全解消や、保育の質の向上、病児・病後児保育、理由を問わない一時的な保育、夜間・休日保育等、多様な市民ニーズに対応しうる子ども子育て支援制度の充実を図り、子育て環境日本一の都市を目指すこと。

3) 【保育人材の確保】
保育に必要な人材の確保が継続して必要であるため、とちぎ保育士・保育所支援センター等と連携し、保育士の就労や、キャリア形成・処遇の改善等に対する支援を継続して行うこと。

4) 【幼児教育・保育の無償化】
国においても幼児教育・保育の無償化が検討されていることから、国の動向を注視し、全ての子どもが親の経済状況に左右されずに幼児教育が受けられる環境の整備及び必要な財政措置を講ずること。

5) 【認可外保育施設の指導強化】
本市も含め全国的に認可外保育施設における事故が問題となっていることから、認可外保育施設に対する指導・監督の仕組みを継続的に検証し、保育事故の防止対策を強化させること。 また、市民から施設内での児童虐待や不適切な運営実態等の情報提供が寄せられた場合には迅速に「特別立ち入り調査」を行い、実態を把握するとともに適切な指導を行うこと。

6) 【第三者評価の推奨】
児童福祉施設においては、認可外施設も含め有識者等による第三者評価の受審を推奨し、運営を客観的に評価できる仕組みを構築すること。 また、事故発生時には第三者機関による事故の検証を行い、再発防止を徹底すること。

7) 【養育・虐待等の相談対応強化】
育児や養育、虐待等に関する相談件数の増加や、児童相談の通所・在宅による指導等が市町村業務として位置づけがなされたことから、子育て世代包括支援センターや、子育て支援総合コーディネート事業等の相談・支援制度の周知に継続して取り組むとともに、負担が増加している相談員や保健師等の人員体制の強化を図り、きめ細かな対応が行える体制を早急に構築すること。

8) 【ひきこもり対策の強化】
全国的にひきこもりの増加や長期化が見られ、ひきこもり状態にある方の情報収集や支援が従来の仕組みでは対応が出来ないケースが発生していることから、保健師やひきこもりサポーターの養成及び活用によりアウトリーチ等の機能を高めるとともに、関係機関との連携を強化して年齢に関わらずひきこもりに対する支援を行える体制を構築すること。

9) 【支援を必要とする子どもへの対応強化】
児童虐待や育児放棄等の養育不全が深刻な社会問題となっているため、乳児家庭全戸訪問事業や地域児童虐待ネットワーク等とともに、剥奪指標を用いた生活実態調査を行うことにより現状把握を徹底し、児童虐待を未然に防ぐ体制を充実させるとともに、こども食堂や生活援助等の子どもの問題に取り組む民間団体に積極的な支援を行い、支援を必要とする子どもへの対応を強化すること。
また、子どもの将来が生まれ育った環境で左右されない社会の実現を推進するため、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の理念を推進し、国・県や支援を行う民間団体等との綿密な連携のもと、育児・教育・生活・保護者の就労・経済等の問題を抱える子どもに対する総合的な支援制度を構築するとともに、子どもの権利に関する条例の制定を検討すること。

2-2.子どもの家の運営
1) 【管理事務専任者の設置】
マイナンバー制度の施行による情報管理の厳密化や、児童・指導員の増加による各種管理の増加などにより、管理業務の質・量への対応と正確性が求められることから、管理事務専任者の設置を行い、設置に関する必要な予算を確保すること。

2) 【受入施設の整備】
保育を要する児童の社会的なニーズが増加していることから、受入施設の計画的な整備を行うこと。
また、空き教室等学校施設を利用する場合には、児童の良好な生活の場を確保するために必要な予算処置を講ずること。

3) 【運営方法の見直し】
子どもの家の運営方法は、直営や委託方式を検討し、運営の格差を解消すること。

4) 【指導員の確保・処遇改善】
法基準の改訂による指導員の不足や、受入児童の増大に伴う事務負担の増加等が見込まれることから、指導員の人員確保やキャリアアップ処遇改善事業、運営委員への事務費支給等の改善に取り組み、質と量の安定した確保に取り組むこと。 また、ボランティアである運営委員や指導員の管理責任を問われる訴訟などが懸念されており、運営に過度の負担が生じないよう、運営側の保証を対象とした管理者責任保険制度の導入を図ること。

 

3.学校教育の充実

3-1.教育の質の向上
1) 【基礎学力の確実な定着】
平成29年度「全国学力・学習状況調査」において全教科で全国平均以上の正答率が得られ、授業力向上プロジェクトの効果が現れていることから、継続的な検証改善により基礎学力の定着を図るとともに、習熟度に課題がある児童・生徒に対しては放課後を活用した学習支援策等を検討し、着実な基礎学力の向上を図ること。
また、中一ギャップの増加が見られることから、各種施策効果の検証を行いながら随時改善を図ること。

2) 【児童・生徒と向き合う時間の確保】
教職員が児童・生徒と向き合う時間を増やすため、教職員の負担軽減と事務の効率化を図ること。そのために、ICT環境の整備や、学校間のテレビ会議システムの導入、部活動に対する外部指導員の活用、学校事務の合理化等に継続して取り組むこと。

3) 【魅力ある学校づくり地域協議会】
地域の特性に応じた多様な活動ができるよう、魅力ある学校づくり地域協議会への財政支援を継続するとともに、地域協議会の活動の底上げを図ること。
また、本市では先駆的に独自の地域協議会制度を進めてきた経緯があるが、平成29年4月1日より施行の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正では、学校運営協議会設置の努力義務化やその役割の充実が求められており、コミュニティ・スクールへの将来的な移行も含めた検討が必要であるため、本市がこれまで培ってきた地域資源を十分に考慮の上、将来的な協議体の在り方を検討すること。

3-2.学習環境の整備
1) 【学校施設の計画的更新】
老朽化する学校施設の計画的な更新が必要であるため、公共施設総合管理計画を踏まえ、中長期的な視点で学校施設の更新を計画的に行うこと。 また、施設の更新においては地域利用や避難所としての機能等も考慮の上、地域意見の反映と更新計画の見える化に努めること。

2) 【少人数学級によるきめ細かな指導】
小学校3学年までの35人学級を継続するとともに、対象学年の拡大を含めた検討を行い、国・県に対する働き掛けを強化すること。

3) 【ICT活用の推進】
教育へのICT活用を積極的に推進するとともに、国において初等中等教育でのプログラミング教育の必須化が検討されていることから、プログラミング的思考を育む為に必要となる指導者の育成や効果的な機材の導入を計画的に行うこと。

4) 【学校トイレの洋式化】
校舎・体育館・屋外等、学校トイレの洋式化を計画的に進めること。 また、改修の際には床面の乾式化等も含め衛生環境の改善に取り組むこと。

5) 【奨学金制度の充実】
家庭の経済環境で子どもの進学に影響が無いよう、今年より開始されたJASSOの給付型奨学金や各種奨学金制度の充実を図るとともに、本市返還免除型育英資金については制度の対象となる全ての生徒が活用できるよう、企業版も含めたふるさと納税制度の活用や一般財源からの定期的な繰り入れなど財源の確保策を検討し、育英基金の安定的な運用と利用者の拡充に取り組むこと。

3-3.通学路の安全確保
通学路合同点検指摘箇所の早急な対策を実施するとともに、継続して危険箇所の検証を行い、児童・生徒の安全確保に取り組むこと。
また、スクールゾーン設定の効果を継続的に検証し、必要な処置を講ずること。

3-4.いじめ・体罰・不登校への対応
1) いじめ防止対策の推進
道徳教育の教科化等を有効に活用した心の教育を充実させるとともに、いじめの早期発見・早期対応を着実に実施すること。
また事象が発生した際には不慮の事故に進展させないよう、当該児童・生徒のケアを確実に行えるよう対策を講ずること。

2) 不登校児童・生徒への対応
長期欠席者のうち、小学校で5割、中学校で8割が不登校を理由とした欠席であり、不登校児童数においても増加が見られることから、早期発見・早期対応が出来るよう保護者が異変に気づいた際に相談ができる窓口の設置や家庭と学校及び関係機関との連携を充実させること。
また、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるよう、学校における環境の整備を図るとともに、教育機会の確保等に関する活動を行う民間団体等との相互の密接な連携を図ること。

3) 体罰の撲滅
体罰や暴力による指導が全国的な問題となっていることから、教職員や部活動指導者に対する暴力によらない指導スキルの習得・研修等を充実させるとともに、学校の対応に不安を感じた際に児童・生徒、保護者が直接相談できる窓口を設け体罰による指導の撲滅を図ること。

4) スクールソーシャルワーカー等の体制強化
上記対応に確実な対応を図るためには、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー・メンタルサポーター等の専門的な知見を有する職員の対応が欠かせないことから、体制の強化と活用を図り、家庭・学校のケアを充実させること。

3-5.ICTモラル教育の強化及び犯罪被害の防止
携帯電話やスマートフォンの普及率増加により、SNS等での犯罪被害や、消費者トラブルに巻き込まれるケースが増加していることから、「宇都宮市携帯電話等の使用に係る問題対策指針」に基づき、指導の充実・強化に取り組むとともに、子ども達が自ら問題意識を持ち自発的な行動ができるよう、児童会・生徒会等による主体的な活動ができるよう指導すること。
合わせて、自殺や殺人・性犯罪等に繋がる悪質な事件が増加しているため、ネット活用の危険性を徹底して指導すること。

3-6.主権者教育の充実
公職選挙法等の改訂された年齢満18年以上満20年未満の選挙投票率が全国的に低調であることから、学校における指導上の政治的中立に留意の上、主権者教育の充実・強化に取り組むこと。

 

4.生涯学習の推進
超高齢化社会や人口減少社会を踏まえ、市民の生涯に渡る学習機会の充実や、地域課題に対応しうる人材の育成が社会的に求められているため、各種講座や図書館事業の充実・強化に取り組むとともに、福祉やまちづくり等の社会的な課題に対応しうる地域人材育成推進事業の強化に取り組むこと。

 

5.生涯スポーツの環境整備

5-1.東京五輪・パラリンピック・栃木県国体開催契機の活用
2020年度に開催される東京五輪・パラリンピック等の効果を最大限に活かすため、下記の取り組みを行うこと。

1) 【キャンプ誘致】
各国代表の練習場・キャンプ地として県と連携のもと、積極的な誘致を継続して行うこと。
また、本県をキャンプ地の候補にされているハンガリーに対しては最大限の敬意を示し、文化交流やおもてなしの体制をしっかりと整え、万全な体制でお迎えが出来るようキャンプ地の決定に向けて努力すること。

2) 【パラリンピック競技体験イベントの実施】
障がい者スポーツの認知向上・普及を目指し、パラリンピック体験プログラムの活用等、障がい者のスポーツ機会拡大や活動支援の輪を広げる活動に積極的に取り組むこと。

3) 【オリンピックインバウンドの推進・ボランティア育成】
観光客の積極的な呼び込みを県及び経済界と連携して行うとともに、おもてなし運動の充実・強化を行うこと。また、2022年度の国体開催に向け、大会ボランティアの派遣・育成に積極的に取り組むこと。

5-2.健康増進策の強化
1) 【高齢者スポーツの推進】
健康寿命の延伸に繋がるよう、ひとり1スポーツの推進や、身近な場所での健康体操の活用、公園への健康遊具設置等、高齢者の活動機会を創出するとともに、高齢者のスポーツ施設利用に対する支援制度の充実を図り、日常的な健康活動を推進すること。

2) 【子どもの体力向上】
子どもの体力に低下が見られることから、少年スポーツクラブや体育系部活動等の積極的な推奨や、体育協会事業や地域スポーツクラブ等の地域活動を推進し、子どもの体力向上を図ること。

3) 【勤労世代のスポーツ推進】
勤労世代の日常的な運動参加に課題が見られることから、企業や民間団体・施設等との連携により活動機会を増やす施策を講ずること。

5-3.スポーツ施設の整備
国際的な大規模スポーツイベントの開催等により、市民の日常的な健康増進の気運が高まることから、第2次宇都宮市スポーツ施設整備計画の着実な前進を図り、身近な場所で市民が気軽にスポーツを楽しめる施設整備に努めるとともに、本市をホームタウンとするプロスポーツとの相乗的な効果を狙い、今後の活用が検討されている宮原運動公園並びに、水上公園跡地等への多目的運動広場や3×3等が出来る屋外バスケットゴールの設置、周辺自転車専用道との接続等を検討するなど効果的な整備を実施すること。

 


Ⅱ.「健康・福祉の未来都市」の実現に向けて 
     (健康・福祉・医療 分野)

1.健康づくりと地域医療の充実

1-1.医療体制の充実確保
1) 【医師の確保・育成】
医師不足の解消及び医療制度を充実させるため、休退職した医師・看護師に対して復職支援を行うとともに、公益財団法人宇都宮市医療保健事業団事業の充実・強化を図ること。
また、県が設置した「とちぎ地域医療支援センター」との連携を強化し、高度医療が可能な専門医を継続して育成・確保すること。

2) 【在宅医療体制の充実】
高齢化が進み在宅医療の増加が見込まれる中、在宅医療における医師、歯科医師、看護師、薬剤師等が不足していることから、医師会をはじめとする諸団体に対し、在宅医療への取組みを積極的に働きかけること。

3) 【休日夜間診療所の改善】
休日夜間診療所においては事務の効率化を図るとともに、重症度に応じた区別医療を徹底するなどして待ち時間の解消を図ること。

1-2.疾病・感染症予防
保健所は率先して予防医学を取り入れ、市民の健康管理意識を高める施策を講じ、医療費や介護保険給付費等の削減に繋げること。

1) 【第一種感染症対策の継続】
デング熱・エボラ出血熱等、重篤なウイルス性感染症へのリスクに備えるため、市内や周辺市町で感染者が発生した場合を想定し、十分な対策を講ずるとともに、市民への予防・感染知識の周知啓発に努めること。
また、本市は県内人口の1/4を抱える広域交流拠点都市であることから、市内への第一種感染症指定医療機関の設置に向け県に働きかけを行うこと。

2) 【ワクチン接種】
感染症予防のワクチン接種助成制度については、「先天性風しん症候群」等の重篤な障がいを引き起こす恐れのある妊娠希望者や、妊婦の夫等に対する「風しん」の予防接種助成制度を継続するとともに、子育て世帯の負担を低減するために「おたふくかぜ」「ロタウイルス」の予防接種費用の一部助成制度を導入すること。
また、熊本地震でワクチンの生産メーカーが被災し、全国的な供給不足が続いている日本脳炎ワクチンの接種については、他の予防接種や子どもの体調等により対象期間中に接種することが難しい家庭もあることから、接種期間延長の救済処置を講ずること。

3) 【各種検診の受診率向上】
がん検診・人間ドック等、各種検診の受診率向上に努めること。

 

2.高齢期の生活を充実する【重点項目】

2-1.グランドデザインの共有
共生社会の実現に向けて、庁内各部局の考え方の共有(規範的統合)を図り、関係各課が連携し、宇都宮市の地域包括ケアシステムのグランドデザインを構築すること。
また、構築したグランドデザインは市民が将来の生活をイメージできるよう、周知・理解の促進に努めること。

2-2.地域包括ケアシステムの推進体制強化
地域包括ケアシステムの構築に当たっては、「介護」「医療」「予防」といった専門的サービスの前提として、「住まい」と「生活支援・福祉」といった分野が重要である。地域包括ケアシステムの構築を迅速かつ確実に行うためには、庁内横断的な取り組みが必要不可欠であることから、高齢福祉課内に設置された地域包括ケア推進室を格上げし課とするなど、機能的な組織体制の構築を行うこと。

2-3.在宅医療・介護連携の推進
1) 【医療・介護連携の強化】
高齢者が住みなれた場所で安心して生活を送ることができるよう、訪問診療を行う医師の増員を図る施策を講じるとともに、主治医・副主治医制の導入や、地域ケア個別会議への医師の出席、夜間往診にも対応可能な医療体制の構築等について、医師会や関係機関等と連携しながら重点的に推進すること。また、訪問診療などの在宅サービスが増加しているものの、重度者を始めとした要介護高齢者の在宅生活を24時間支える仕組みが不足しており、利用も進んでいない現状から、医療ニーズが高い高齢者に対して医療と介護の連携が進むよう、関係者への周知啓発を行うこと。

2) 【在宅療養支援の強化】
医療・介護等の関係機関の連携を強化するため、地域を5ブロックに分けて、在宅療養支援に必要な体制整備の強化に努めるとともに、資質向上及びスキルアップを図るための研修機会を充実させ、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、ケアマネージャー、介護士、社会福祉士、作業療法士など多職種連携を更に推進して顔の見える関係を構築すること。

2-4.地域包括支援センター
1) 【地域包括支援センターの機能強化】
地域包括ケアシステムの中核を担う地域包括支援センターのサービスの質を確保するため、市は、地域包括支援センターが主催する地域ケア会議に積極的に関与し、地域のネットワーク構築、地域課題の把握等を推進し、多職種協働による地域マネジメントを進めること。
また、地域包括支援センターのサービスの質・量の底上げを行うため、地域包括支援センターが抱える困難事例に対しては、行政の相談支援体制の強化を図り、市が責任をもって対応すること。

2) 【総合業務評価の実施】
市全体として地域包括支援センターに委託した事業の質の標準化や業務のレベルアップ・改善による事業の底上げが必要であるため、地域包括支援センターごとの業務実績と取り組み内容についての総合的な評価事業を行い、市と各地域包括支援センターが課題や目標を明確に共有しながら事業を確実に推進すること。

2-5.生活支援体制の整備
1) 【第1層協議体の機能強化】
第1層協議体は、主に資源開発(不足するサービスや担い手の創出・養成、活動する場の確保)中心のプロデュース機能を有する協議の場であるが、本市では社会福祉審議会高齢福祉専門分科会に第1層協議体を位置付けている。審議会と協議体の機能を明確にするとともに、第1層協議体の機能を強化すること。

2) 【第2層協議体の設置】
第2層協議体の設置に向けては、地域の生活・福祉課題の解決のために、地域福祉を推進する宇都宮市社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会の既存の取り組みを基盤に整合性を図ることが重要であると考えられる。これまで、市社協に於いて、地域福祉活動の育成・支援や、地域ニーズへの対応等、地域活動に重要な役割を担ってきたコミュニティワーカーを日常生活圏域毎の配置となるよう増員し、更なる住民意識の醸成を推進するとともに、第2層協議体の設置を推進し、行政と地域包括支援センターが連携して生活支援体制整備事業の推進に当たること。

3) 【生活支援体制整備事業に対する予算措置】
国の生活支援体制整備事業に係る予算は、第1層8,000千円、第2層4,000千円×日常生活圏域の数(本市の場合、連合自治会数)が計上されている。生活支援体制整備事業予算は、地域包括支援センターを経由するのではなく、それぞれの協議体へ市が直接配分すること。

2-6.生活支援コーディネーターの育成・確保
市民理解の促進のためにも「生活支援コーディネーター養成講座」を早急に実施すること。
また、生活支援コーディネーターは、資格要件や人数制限等は設けず、地域の実情を熟知し、地域の助け合いや支え合いを理解した上で、行動に移すことが出来る方を選任すること。

2-7.介護予防事業
要介護状態に陥らない予防施策が極めて重要になることから、本市の地域毎の実情と、利用者ニーズや生活上の課題を的確に捉まえ、要支援1・2認定者を含めて、地域の実情に応じた効果的な総合支援事業を推進すること。

2-8.認知症対策の強化
高齢化の進展に伴い認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症になっても安心して暮らしていける地域づくりを推進するため、認知症サポーター養成講座に留まらず、認知症高齢者SOS見守りネットワークの構築や、認知症初期集中支援チームの設置など、より実践的な施策を講じること。
また、認知症に対する誤解や偏見を防止し患者やその家族が孤独を感じることのない地域環境をつくるため、児童・生徒に対しても学校教育の中で認知症サポーター養成講座など認知症に対する学習を取り入れること。

2-9.高齢者の健康・居場所づくり
介護予防事業等により利用者の増加が見込まれる老人福祉センターや地域集会所等については、需要増に応じた環境整備と担い手の育成に取り組むこと。
また、高齢者の健康づくりや体力増強のため、サロン事業の強化や健康体操の充実、近年競技人口が増加しているグラウンドゴルフが出来る多目的広場の設置等の健康寿命増進施策に積極的に取り組むこと。

2-10.【介護離職の防止】
介護離職や介護疲れなどが社会問題化していることから、レスパイトケアや介護者向けメンタルサポート等の相談・支援を充実させるとともに、介護離職を防止するため、民間企業に対しても介護者を抱える勤労者への就労配慮などの働き掛けを行うこと。

2-11.【成年後見制度の活用】
成年後見制度の利用は増加傾向にあるものの、成年後見制度の利用が有効と認められるのにもかかわらず制度理解が不十分であったり、費用負担が困難であることや、親族申立てが困難な場合等で利用が進まない場合が見受けられることから、市町村長申立権及び、成年後見制度利用支援事業の円滑な利用と相談体制の整備を早急に行うこと。

 

3.障がいのある人の生活を充実する

1) 【障がい者の外出支援】
障がい者(難病疾患者も含む)の社会参加を推進するためにも、全ての公共交通において利用者負担の軽減が図れるよう対策を講ずること。

2) 【障がい者就労の充実】
障がいを持った方が自立した生活が出来るよう、県の障がい者就業・生活支援センターや障がい者職業センター、ハローワークや特別支援学校等と連携し、障がい者と雇用する事業者の就労支援・賃金向上支援に取り組むこと。

3) 【障がい者サービスの充実】
障がい者等のニーズ把握を行い、サービス計画に適切に反映させること。

4) 【地域移行支援の充実】
精神障がい者地域移行支援特別対策事業等の効果を検証し、地域移行・定着支援が着実に行えるよう定期的な見直しを図ること。

5) 【差別の防止】
障がい者差別解消法に基づき、障がい者が社会の一員として尊厳をもって生活出来るよう、差別の防止や、合理的な配慮の推進、差別や権利侵害を防止するための啓発・相談事業等の充実・強化を図ること。

6) 【障がい者支援ネットワークの構築】
障がい者向け福祉サービスの「サービス等利用計画」の作成を引き続き推進するとともに、利用計画作成にあたりパートナーとなる「相談支援事業者」や「専門相談員」の育成・支援を強化し、総合的な障がい者支援ネットワークの構築を進めること。

7) 【インクルーシブ教育の推進】
インクルーシブ教育が推進されるよう、幼保・義務教育機関の障がい児の受入に対する職員の増強等、受入体制を充実させること。
また、障がい者が住み慣れた地域で生活ができるよう、障がいに対する理解促進に努めること。

8) 【発達障がい児の早期対応】
他都市の事例では就学前の5歳児に対する相談事業により、発達に支援が必要となりうる子どもや保護者に対する生活・就学上の不安解消や、保育所・幼稚園等の不安の解消等を行い、円滑な進路の決定や日常生活の早期支援につなげる施策を行っている自治体もあることから、本市においても5歳児相談事業の実施を検討し、子どもや保護者・保育従事者等の不安解消や適切に進路が選択できる環境整備を行うこと。
また、発達障がい等の初期対応窓口は保健福祉部や子ども部・教育委員会など所管が多岐に及ぶことで市民にわかりにくさがあるため、ワンストップで相談・支援ができる窓口を設置すること。

 

4.生活困窮者の自立支援

1) 【生活保護受給者の自立支援】
生活保護受給者の受給資格を定期的に点検し適正な支給に努めること。 また、生活保護受給者に対する就労支援は着実に効果を上げていることから、ハローワークとの連携を継続し、自立による生活保護からの早期卒業を目指した早期の就労・生活支援が行える人的配置を含めた自立支援体制の充実・強化を図ること。

2) 【生活困窮世帯の自立支援】
生活保護にいたる前の生活困窮者に対する自立支援対策が極めて重要であることから、生活に関する相談支援体制の強化や、生活困窮者自立支援制度における全ての任意事業に取り組むこと。

3) 【貧困の連鎖の防止】
貧困の連鎖に歯止めをかけるため、生活困窮世帯の児童・生徒に対する学習支援を継続するとともに、生活困窮世帯や児童養護施設の退所者等に対する生活・就職等のアフターケア事業の充実を図り、自立に向けた支援を行うこと。

 


 Ⅲ.「安全・安心の未来都市」の実現に向けて
      (安心・協働・共生 分野)

1.危機への備え・対応力の強化【重点項目】

1-1.溢水被害対策
近年多発する豪雨の被害状況を踏まえ、公共下水道雨水整備計画に定める重点配水区や、都市河川等の適切な機能強化を図るとともに、近年の豪雨により頻繁に溢水する雨水排水管路においては別途対策を講ずること。
なお、整備に期間を要する区域については暫定対策を講ずること。

1-2.支援物資の受入強化
民間団体・企業との防災協力事業所等の登録数増加に取り組むとともに、支援物資の受け入れや管理・輸送等に民間物流事業者のノウハウ等を活用できるよう、災害発生時における物資輸送に関する協定事業者との受入訓練等を行い有事の際に円滑な対応が図れるよう、危機対応力の強化を図ること。
また、各地域の実状に応じた指定避難場所の見直しや、適切な避難誘導体制の構築等には継続して取り組むこと。

1-3.自主防災組織
地域防災力の向上にとって自主防災組織の育成・強化は欠かせないことから、地域特性に応じた効果的な自主防災活動が行われるよう、実践的な活動に対する支援や、研修会・講演会の充実を図るとともに、地域一律である自主防災組織に対する補助金は人口比による活動の公平性も含め見直しを検討し、有事に機能的な対応ができるよう必要な指導・支援を行うこと。
また、地域の防災訓練実施に当たっては市内在住の外国人に対しても、適切な避難誘導等が行えるよう対策を講ずること。

1-4.災害時要支援者制度の継続的な見直し
災害時要支援者に対する情報更新や地域内での引き継ぎに不備があり有事の際に要支援者リストが活用出来ない自治会もあるため、リストの更新や日常的な点検の仕組みを見直し、制度の実効性を高めること。

1-5.避難情報の見える化
ICT弱者・情報弱者等が必要な情報を得られるよう、公共施設へのデジタルサイネージ(電子看板)設置を行うとともに、メール配信サービスを行っている防災情報や消防出動、不審者情報等の電光表示を行い情報の見える化を図ること。 また、公共施設案内表示や災害時避難場所案内表示の設置が困難な場所においては、既存の電柱等を活用するなど、市民や他市・県外来訪者などにも分かりやすい公共情報の表示を行うこと。

1-6.J-ALERT作動時の的確な対応
隣国の挑発的なミサイル発射実験等が繰り返されるなど、緊迫した国際情勢が続いていることから、有事の際に市民の安全・安心が確保されるよう、J-ALERT(全国瞬時警報システム)等に対応した実践的な対応訓練を行うとともに、電子パルス兵器等により電子機器が使用できない際の通信・連絡手段の検討や、J-ALERT作動時の教育・育児・福祉施設等(民間委託事業者も含む)の対応マニュアルを整備し危機への備えに万全を期すこと。

1-7.テロ対策の強化
東京オリンピックなどの大規模な国際イベントの開催を控え、国際的 なテロの標的になりうるリスクが増加していることから、大規模な集客イベントや日常的に多くの来訪者が訪れる施設・会場に対しての防犯・セキュリティ体制の強化に主催者・警察・警備会社等と連携を密にして取り組むとともに、犯罪の抑止や警備上必要となる防犯カメラ等の設備整備を計画的に進めること。

1-8.災害時の火災予防
地震による火災発生の多くは、地震発生時の停電から電源が復旧した際に、電熱器等への通電により発生する場合が多いが、近年地震発生時に通電を遮断する機器が開発されており、高齢世帯等の家屋火災の発生抑制に効果をあげていることから、機器の普及促進や高齢者世帯に対する助成制度の創設等、先進自治体を参考に検討すること。

 

2.日常生活の安心を高める

2-1.空き家対策の推進
空き家条例の効果は継続的に検証を行い、土地・建物等の適正利用や、管理者に対する初期段階からの指導等、良好な生活環境が害されないよう指導・対策の強化を図るとともに、所有者不明の空き家・空地や相続が適切になされていない物件に対する対策を強化すること。 また、市場へ流通しうる空き店舗や空き地・空き家に対しての情報を収集し、データーベース化、民間デベロッパーとの連携、移住・定住施策への反映等、総合的な空き家・空き地対策を行い、未活用民間資産の活用を図ること。

2-2.特殊詐欺対策
特殊詐欺の被害が後を絶たないことから、関係機関との連携を図り、特殊詐欺被害の撲滅を図るとともに、特殊詐欺電話撃退機器の貸出期間や運用手法の見直しを含めた対策の強化、注意喚起を記載した電柱等への屋外広告物の設置等、被害撲滅に向けた啓発活動に取り組むこと。

3.市民が主役のまちづくりの推進

3-1.自治会活動の活性化
まちづくりの課題が複雑かつ高度化していることから、地域課題に取り組むまちづくり組織や自治会の活動に対する支援を充実させること。
また、地域活動を担う人材確保に苦慮している自治会も多いため、自治会の加入促進を支援するとともに、市民が地域活動に積極的に参画できる環境づくりや、地域リーダー育成支援等の人づくりに対する支援の強化を図ること。

3-2.男女共同参画の推進(女性の活躍推進)
社会における雇用機会の平等や、男女共同で出産や育児・介護などに取り組める環境を整備・推進するとともに、多様な働き方(短時間労働や自宅勤務等)が選択できるよう、市内事業者への指導を徹底すること。 また、意思決定の場への女性の登用においては、企業や自治会・地域活動団体においても登用促進が図られるよう、施策の強化に努めること。

3-3.深刻な人権侵害に対する対応強化
1) 【DV・ストーカー相談の強化】
DV、ストーカーなどの相談件数が増加しているため、民間団体と連携し活動の強化に取り組むとともに、相談業務・被害者救済への対応力強化や、被害者の精神的サポートを含めた自立支援の充実を図る等、被害者への迅速な支援ができるよう、多核的な取り組みを強化させること。 また、人権教育として中学校での「デートDV防止教室」を充実させ、全校での実施に取り組むこと。

2) 【性犯罪被害者支援】
性犯罪被害者支援に当たっては、とちぎ性暴力被害者サポートセンター(とちエール)の支援コーディネートと連携を図り、被害者の状況に応じたケア会議の実施や、関係機関・団体との連携強化を図り被害者に寄り添った支援を行うこと。

3) 【性犯罪・虐待等への対策・教育】
性犯罪・性暴力・DV・ストーカーや児童・障がい者・高齢者等に対する虐待は自己の羞恥心や自責の念、周囲の人間との関係等から誰にも相談できずに潜在化しやすいことから、学校等関係機関や支援団体と連携・協力し、早期の段階から精神科医や臨床心理士等によるカウンセリングが受けられる体制の構築や、相談体制の強化に取り組むとともに、被害者に対する生活の安定を確保するための居住や就労支援策の強化に取り組むこと。 また、被害にあわない・加害者にならないために、あらゆる機会を通じて教育や広報・啓発等の取り組みを行い、人権尊重と犯罪の防止に取り組むこと。

4) 【多文化・人権教育】
多文化共生社会では国際問題ともなりやすいヘイトスピーチや、性的マイノリティーなどの人権に対する各階層における教育・対策等を充実させること。

3-4.社会保障・税番号制度対応
個人番号通知未受領者へのアプローチや、カードの速やかな発行を継続して実施するとともに、個人番号カードの活用による市民サービスの拡充や、行政手続きの簡素化に取り組むこと。
また、市民生活への影響を抑えるため、住民基本台帳カードの廃止や市民カードからの切り替え等の周知を確実に行うとともに、市税のクレジットカード払いの導入等、オンラインやICTを活用した市民サービスの向上を図ること。

 


Ⅳ.「魅力創造・交流の未来都市」の実現に向けて
     (魅力・交流・文化 分野)

1.都市ブランドの確立と更なる魅力の創出【重点項目】

1-1.歴史・文化の資源化・活用の推進
1) 【歴史文化基本構想の推進】
歴史や文化はその地域を代表するアイデンティティであり、その歴史や文化、景観の保存や活用さらには市民の生活の中にある有形・無形文化を適切に守り、育てていく事が極めて重要である。今年度定める歴史文化基本構想を着実に実のある構想にしていくため、主要施策の実施計画やロードマップを定め、市民・地域と価値観の共有を図りながら着実な推進を図ること。

2) 【大谷石関連文化財の日本遺産登録と観光資源化】
特異な景観や、産業の歴史、豊かな自然環境を有する大谷地域の観光施設や景観保全、大谷石建造物の文化活用や回遊性の向上など、本市を代表する観光資源として更なる保存と活用を図り、誘客促進に取り組むとともに、大谷石関連文化財の早期日本遺産登録により本市独自の歴史・文化を広く国内外に発信し、地域ブランドの確立を目指すこと。

3) 【宇都宮ブランドの強化】
本市がこれまで関係者の努力と協力により築き上げてきた餃子・カクテル・ジャズ・自転車等のブランドにおいては、更なる魅力の向上と市内外への情報発信を強化すること。 また、これらに続くブランド戦略として、3×3やリンク栃木ブレックスなどの知名度・実績を活かした「バスケのまちうつのみや」や、東京オリンピックで正式種目として採用され、本市出身の選手の活躍も期待されるスポーツクライミング等の競技団体と連携したスポーツコミッションの強化など、新たな資源となりうるブランドの育成・支援に取り組むこと。

1-2.歴史・文化・スポーツに係わる庁内体制の再編
歴史や文化、スポーツに関する部局は現在教育委員会制度に定められる通り教育委員会が所管しているが、経済振興や市のブランディング、さらには交流人口の増強や移住・定住のコンテンツとしても大変大きな意味合いを持つことから、他都市では組織を市庁部局に改変し対応を強化している市町も多い。本市においても文化やスポーツ組織の市庁部局への編入や連携の在り方等、推進体制の強化に向けた検討を行うこと。

1-3.移住・定住を促すブランド戦略の構築
本市は民間調査の住みよさランキング等で常に上位に位置しているが、全国的に特出した魅力や知名度を得るには至っていない。 特に、居住を選択する際に重要な要素となる日常的な交通や通院・買い物の利便性などは本市の掲げるネットワーク型コンパクトシティの概念そのものであるため、生活交通や住みよさ、子育てや就労、食や自然の豊かさなどの居住や転入の決め手となるコンテンツの詳細な分析を行い、ブランディングとしての活用を図ること。

 

2.個性豊かな観光と交流を創出する

2-1.国際都市としての機能強化
1) 【外国人の受入体制強化】
外国人入込客数の増加がみられることから、外国語対応可能な人材の育成支援や、市内公共施設や主要観光施設・交通結節点における多言語表記等、受け入れ態勢の強化に取り組むこと。 また、近年AIを活用した翻訳アプリ等の新技術も広く普及がなされていることから、これらのICT技術を効果的に活用できるよう観光拠点への導入支援策等を検討すること。

2) 【通訳ボランティアの育成】
多言語通訳ボランティア登録派遣制度の充実・強化を図ること。

3) 【外国人来訪者のニーズ調査】
来訪された外国人の口コミやリピートが安定した集客の確保に必要となることから、民間旅行会社や宿泊施設等と連携し、来訪された外国人のニーズや不満に対する調査を行い観光施策への反映を行うこと。

4) 【ピクトグラムの整備】
ユニバーサルデザインのまちづくりを推進するため、市内のピクトグラムを国際標準化機構(ISO)規格に揃え、外国人にも分かりやすい都市環境を整備すること。

2-2.【SNS・インスタグラムへの対応強化】
近年SNSの活用により、インスタグラムの撮影スポットが観光地としての賑わいを創出する等の効果が得られていることから、宇都宮らしい風景や景観とともに撮影が出来る撮影スポットのマップ作成や道路標記など、若い世代で活用が広まるSNSへの対応を強化すること。

 


Ⅴ.「産業・環境の未来都市」の実現に向けて
      (産業・環境 分野)

1.地域産業の創造性・発展性を高める【重点項目】

1-1.産業政策
日本再興戦略で掲げる成長戦略や第4次産業革命等、変化する経済環境に対応し、市内の経済活力と雇用環境を維持するため、以下の産業政策の拡充を図ること。

1) 【次世代モビリティ産業の育成支援】
次世代モビリティ産業(航空宇宙・自動車・ロボット・情報通信)集積戦略は長期的経済基盤確立の観点から支援の拡充を図ること。

2) 【自動車産業の競争力強化支援】
本県の基幹産業である自動車の自動運転技術に対する試験研究や社会実証試験等への支援を積極的に行うとともに、交通未来都市うつのみやの一翼を担うために必要となる環境に優しい燃料電池自動車・バス等の電気・水素社会の実現に対する支援を強化すること。

3) 【ライフイノベーション産業の育成】
国・県の成長戦略を踏まえ、ライフイノベーション産業(医療・福祉・健康関連産業)の育成・支援策を充実させるとともに、ビックデータ・IOTの活用に関する支援を行うこと。

4) 【サービス産業の生産性向上】
我が国のGDPの70%を占めるサービス産業の活力を向上させるため、国のサービス産業チャレンジプログラムに定める7分野(宿泊・運送・外食・中食・医療・介護・保育・卸・小売)に対する労働生産性の向上支援策を強力に推進すること。

5) 【中小企業振興】
栃木県中小企業・小規模企業の振興に関する条例の理念を踏まえ、中小零細企業の成長・経営資金が適切に確保されるよう、中小企業事業資金貸付金や、信用保証料助成金等の金融支援対策を充実させるとともに、ITの導入による生産性向上等に対する支援を充実させること。
また、本市の大半を占める中小零細企業の持つ技術や伝統を次の世代に継承するためにも学校教育等を含めたの本市独自の中小零細企業振興条例を制定すること。

6) 【物流拠点の整備】
広域経済の拠点として物流拠点の整備を促進し、経済・流通の活性化を図ること。

7) 【企業立地定着促進用地の確保】
清原・平出工業団地の分譲が終了し、新たな工場立地を求める企業ニーズへの対応が求められていることから、工業団地の新設・拡張等による新たな企業立地定着促進用地の創出を検討すること。

 

2.商工・サービス業の活力を高める

2-1.中心市街地活性化
1) 【中心市街地の機能向上】
市内中心部の再開発等に併せ、恒常的に来場する都市型観光・アミューズメントスポットの創出等、積極的な民間誘導策を講ずること。 また、中心市街地の経済活力向上に向け、回遊性の向上や、まちなか居住の推進等、中心市街地の活力向上を推進すること。

2) 【低未利用地の活用促進】
中心市街地の低未利用地及び、空き店舗対策の強化を図り、民間資産の効果的な誘導施策を講ずること。

3) 【公衆無線LANの整備】
公衆無線LANの整備を拡充し、アクセスポイントをわかりやすく表記すること。
また、目的地へのアクセス方法をわかりやすく表示するなど、観光アプリ等の充実・強化を図ること。

 

3.農林業の生産力・販売力・地域力を高める

3-1.流通・販路拡大・ブランディング
農業基盤を強化するため、市内農畜産物のブランド力の強化及び流通 拡大に向けた支援を継続して行うとともに、ゆうだい21や夏秋イチゴ等の次期ブランド農産物となりうる農畜産品の生産・品質・営農等に係る支援を強化させること。 また、県やジェトロとの連携を強化し、海外流通の促進や取り扱い事業者の確保等、流通拡大施策の充実を図ること。

3-2.6次産業化の推進
宇都宮アグリネットワーク等との連携を図り、地場産農畜産物の第6 次産業化を推進し、営農者の収益改善及び産業競争力の強化を図ること。

 

4.環境への負荷を低減する

4-1.再生可能エネルギーの活用
公共施設への太陽光発電の設置やバイオマス利用を推進するとともに、市民ニーズの高い住宅用太陽光発電システム・高効率給湯器の設置費補助を継続すること。また、今後、設備の導入が見込まれる家庭用蓄電池やHEMS等の生活エネルギーの環境負荷低減に資する家庭用設備については、民間事業者と連携し積極的な導入支援策を講ずること。

4-2.排出効果ガスの抑制
1) 【輸送用機器の排出効果ガス削減】
栃木県「EV・PHVタウン構想」を多様な分野と連携させ、施策の充実・強化を図るため、充電インフラ・水素ステーション等の整備促進に努めるとともに、市民に対する次世代環境対応車両の普及啓発に積極的に取り組むこと。
また、公共交通においても東京都などが率先して導入している水素燃料の路線バスをバス路線再編による新路線に導入し低炭素社会の交通体系モデルとして活用出来るよう検討すること。

2) 【省エネルギー化の推進】
温室効果ガス排出量の多い産業・家庭・業務系部門のCO2排出量  を効果的に抑制するため、スマートシティー等の新たな環境技術を取り入れた新しいライフスタイルの提案や、産業の省エネトップランナー制度の拡大支援等、エネルギーの高効率化・省エネ化など生活・産業の省エネルギー化を推進し、環境負荷の低減を図ること。

3) 【環境教育の充実】
市民ならびに教育機関における環境学習の充実・強化を図ること。

4-3.廃棄物の削減
焼却ゴミ等の排出削減目標値が達成されていないことから、ルールの再周知や再資源化の更なる推進を実施すること。

4-4.環境保全
生物多様性や、農地・里山樹林地の保全と活用を図り、緑・水・生態系の保全と創出に努めること。 また、自然環境や景観等と再生可能エネルギー発電設備事業との調和が特に必要な地区においては、この地区内で設置事業を行う場合には、許可を得なければならないことを定める条例の制定を行うこと。

 

5.雇用・労働環境の改善

5-1.働き方改革の推進
働き方改革の方針を踏まえ、市内企業に対する労働ルールの徹底や長時間労働の是正、女性の活躍等の推進に向けた指導・啓発に積極的に取り組み、働き方改革を官民共同で推進すること。
また、働き方改革の対象ではない行政職員に対しても率先・模範となるよう働き方改革を推進すること。

5-2.福祉系人材の確保
慢性的に人材不足が発生している医療・介護・保育等の分野については、雇用と就労にミスマッチが発生していることから、マッチング事業に継続して取り組むこと。 また、上記福祉系事業は経営の自由度が少ないため、就労者の適正な処遇改善を継続的に支援すること。

5-3.改正労働者派遣法への対応
労働者派遣法の改正により非正規労働者の増加が懸念されることから、事業主に対する雇用ルールの徹底及び、正規雇用の推進に積極的に取り組むこと。

5-4.高齢者雇用の創出
年金支給開始年齢の段階的な引き上げに伴い、高齢者雇用の創出が必要であることから、市内雇用主に対し高齢者雇用を促すとともに、シルバー人材センターの機能強化や、受注の拡大に積極的な支援を行うこと。

 

6.中央卸売市場
時代の変化に伴い、市場を取り巻く環境は厳しさを増すことが想定 されていることから、市場の再整備にあたっては、市場機能の維持・向上や市場競争力の強化に着実に取り組むとともに、市及び県の食の発信拠点として整備を行うよう、宇都宮市中央卸売市場施設等整備基本計画や活性化ビジョン後期推進計画を着実に推進すること。
また、関連棟の移転を含めた商業施設エリアの整備においては、本市の魅力が発信できるよう、まちなか道の駅としての登録・活用などを検討すること。

 

7.競輪事業
ファン層の高年齢化や娯楽の多様化に伴い、競輪事業の収益が減少し ていることから、イメージの向上や、女性・若者等新たな顧客層の取り込み、休場中の施設解放による事業やミッドナイト競輪の自場開催・貸付等による収益強化等、中長期的な経営力の強化に努めること。
また、並行して競輪事業のあり方論議を進めること。

 


Ⅵ.「交通の未来都市」の実現に向けて
    (
都市空間・交通 分野)

1.暮らしやすく魅力ある都市空間の形成
1-1.JR宇都宮駅東口地区整備事業
1) 【交流人口の拡大・強化】
交通利点を活かし、交流人口の増加に繋がる施設整備に取り組むとともに、早期事業化に努めること。

 2) 【費用の抑制・透明性の確保】
整備計画策定時には、ランニングコストや整備効果等について適切な調査を行い、市民に明確に示すこと。

3) 【緑化及び防災機能の向上】
整備事業にあたっては、都市緑化や景観・防災機能等に配慮の上、本市の玄関口に相応しい安全・安心な魅力ある都市空間の創出に努めること。

4) 【交通結節点としての駐輪場整備】
自転車及び、自動二輪車の駐輪施設が不足していることから、早急な整備を行うこと。また、整備にあたっては、全天候対応型駐輪施設とすること。

1-2.JR宇都宮駅西口基本計画
JR宇都宮駅西口は本市の玄関口として重要であることから、基本計画の策定にあたっては次の事項に留意すること。

1) 【都市機能の強化】
民間事業者の動向を注視し、都市機能の充実と賑わいの創出を図ること。

2) 【導線の整理】
エリア全体での車道・歩道・自転車道等の動線整理やバスバースの再編に合わせ、ペデストリアンデッキの延伸や歩道へのアーケード設置等、安全性・快適性・回遊性の機能向上を図るとともに、来訪者にわかりやすいバスロケーションシステムを含めた各種案内表示の機能向上を図ること。

3) 【円滑な車両交通の確保】
慢性的な渋滞発生地区であることから、車両の円滑な交通ルートを確保するとともに、中心市街地全体での駐車場位置情報システムの高度化(VICS・携帯情報等)に取り組むこと。

4) 【ユニバーサルデザイン】
ユニバーサルデザインによる都市整備及び、障がい者の動線に配慮した交通結節点とすること。

5) 【都市緑化】
県都の顔として魅力ある都市空間を形成するため、駅前の都市緑化や統一的な景観形成に取り組むこと。 また、駅前が憩いの空間であることは都市の品格を高める重要な要素であるため、木陰やベンチの設置など潤いのある空間形成に努めること。

6) 【公共サインの多言語整備】
増加する外国人来訪者に配慮した、駅周辺公共サインの多言語化や公衆無線LANの整備に取り組むこと。

 

2.快適な住環境と自然豊かな都市環境の創出

2-1.ネットワーク型コンパクトシティの形成
1) 【立地適正化計画】
都市機能誘導区域や居住誘導区域に対する誘導施策効果を定期的に検証しながら効果的・効率的な都市拠点・地域拠点の形成を行うこと。 また、居住人口の少ない地域拠点においては、現行の誘導施策のみでの拠点形成が難しいことも考えられるため、状況に応じ対策を講ずること。

2) 【市街化調整区域における新たな土地利用方針】
郊外部の地域拠点形成にあたっては、農業集落等の維持に配慮の上、市民が身近な場所で快適な日常生活が送れるよう、交通・買い物・医療・介護・子育て等の社会的な課題に対応しうる計画とすること。 また、民間公共交通を最大限に活用するため、全ての既存鉄道駅周辺地区において土地利用の高度化を推進すること。

3) 【拠点間ネットワークの整備】
拠点間ネットワークの構築に当たっては、機能的かつ持続可能なネットワークとなるよう、バスネットワークの再構築を含めた総合的な交通ネットワークの全体像を明確に示すこと。
また、計画されている道路ネットワークの整備に当たっては、都市計画道路及び、自転車専用通行帯等の整備計画を明確に示すこと。

4) 【都市拠点の形成】
都市拠点及び地域拠点の構築に当たっては、地域特性を考慮し効果的な誘導施策を講じること。また、各拠点地域の構築に当たっては、地域住民とイメージの共有を図りながら推進すること。

2-2.宇都宮市まち・ひと・しごと創生総合戦略、宇都宮市人口ビジョンの推進

東京一極集中の歯止めや、若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現等による地方への人の流れを推進することが求められており、首都圏域に位置し北関東最大都市である本市の役割は極めて重要であることから、下記の事項に積極的に取り組むこと。

1) 【都市PRの強化】
東京圏域からの人口流入を最大限に取り込むため、居住・定住促進に資する都市PRの強化及び、優良な居住環境の整備・支援等、必要な施策を官民共同で強力に推進すること。

2) 【魅力的な働く場の確保】
移住・定住を促進するためには魅力的な働き先の確保が欠かせないことから、産業政策を積極的に行い雇用の創出・維持に全力で取り組むこと。
また、施策の推進に当たっては、組織体制の見直しを図り強力に推進すること。

3) 【UJIターン促進】
UJIターンや、高校・大学等との連携による地元就職を促進するとともに、若者の正規雇用を推進するなど、若者が地元で安定して働き生活できるよう施策の充実・強化を図ること。

4) 【国の制度活用】
上記施策の実施にあたっては、国の支援制度を最大限活用し、市民が効果を実感できる施策を実施すること。

 

3.誰もが快適に移動できる総合的な交通ネットワークの構築【重点項目】

3-1.公共交通ネットワーク
1) 【ネットワークの全体像の提示】
公共交通ネットワークの全体像を早急に示すこと。
また、ネットワークを構築する際には、鉄道・バス・タクシー・地域内交通との相互連携を確実に行うため、事業者の意見を十分に反映させること。

2) 【公共交通利用料金の最適化】
公共交通の利用を促進するためには、利用しやすい料金設定が必要であるため、市内移動の価格上限設定や乗り継ぎ時の費用負担低減などに取り組み、利用料金をできる限り押さえる仕組みを検討すること。 また、現在縦割りである高齢者外出支援制度や障がい者外出支援制度等を統合し、交通弱者利用の総合的な割引運賃制度を検討すること。

3) 【モビリティ・マネジメントの推進】
公共交通の利用促進策(モビリティ・マネジメント)を全市的に行うとともに、増加する高齢者の運転免許証返納などに対する支援事業等、多様な移動ニーズに対応できる社会を構築すること。

4) 【公共交通機関の連続性の確保】
新幹線最終運行便より既存鉄道・バス・自転車への乗り換えができるよう関係機関との調整を行い、モビリティの連続性を充実・確保させること。

5) 【ICカードの活用】
ICカードの導入においては、市内全ての公共交通機関や市営駐車場・駐輪場等で利用ができるよう、乗り継ぎ割引等も含めカード利用の連続性を確保するとともに、民間事業者に対する導入支援策を講ずること。 また、導入を予定しているQR乗車券並びに券売機においては視覚・身体等の障がい者や高齢者等が利用しやすいよう必要な対策を講ずること。

6) 【北海道新幹線の活用】
北海道新幹線沿線地域との経済連携を強力に推進するとともに、引き続き北海道新幹線の宇都宮駅停車に向けて関係機関に対する働きかけを行うこと。

7) 【タクシーの初乗り運賃の低減】
東京都などで実施されているタクシー初乗り運賃が低減された新たな料金設定は、気軽にタクシーを利用するためには効果的であるため、先駆的に料金設定を見直した自治体における事業者の収益状況を検証し、本市のタクシー料金の設定に反映されるよう働きかけること。

3-2.次世代型路面電車LRT整備
LRTの整備に当たっては多くの懸念も考えられることから、慎重な対応を求めるため下記の取り組みを早急に実施すること。

1) 【全体計画の提示】
区間全体の計画を早急に明示し、事業リスクと対策、整備効果等を明確にすること。また、LRT整備と関連して発生する都市整備の事業費等を明確にし、説明責任を果たすこと。

2) 【世論の適切な把握】
事業の推進にあたっては市民の合意を必ず得ること。
そのために、定量的・定期的に民意を把握する「世論調査」等でLRTや公共交通ネットワークに関する市民ニーズの把握を行い政策に反映すること。

3) 【平石地区ルートの慎重な対応】
地域住民の同意に慎重な対応が必要である平石地区の導入ルートについては、地域との話し合いを真摯に進めるとともに、地域の同意が取れるまで当該区間の着工は行わないこと。

4) 【地権者への丁寧な対応】
事業の実施には地権者の合意が不可欠であることから、丁寧かつ地権者に寄り添った説明と機能保証を適正に行うこと。

 

4.バスネットワークの再編

バスネットワークの再編にあたっては、本市の目指す公共交通ネットワークの重要な役割を担うことから、以下の施策に取り組むこと。

1) 【連接ポイントの明示】
バス網の再編においては、各公共交通との連接ポイントを政策として明示し、持続性・利便性確保の観点から地域要望や事業者の収益性を十分に考慮のうえ進めること。

2) 【バスロケーションシステムの整備】
市に来訪された方にもわかりやすいバスロケーションシステムを構築するため、検索アプリやHPの時刻表への乗り場番号の表記や、地名がわからない来訪者でもバス停が検索できる「あいまい検索機能」の拡充など機能の強化を行うこと。

3) 【停留所の整備】
停留所の雨よけや駐輪場等、利用環境の整備を推進すること。
また、他交通との結節点となる主要な停留所においては、トランジットセンターとしての機能を充実させること。

 

5.地域内交通

地域内交通においては、交通弱者等の面的なモビリティとして重要な位置付けを担うため、下記の施策に取り組むこと。

1) 【地域ニーズの反映】
既存鉄道・バス等の公共交通や地域内交通同士の乗り継ぎ並びに、主要な生活拠点への地域間乗り入れについては、地域ニーズを十分に反映し、実情に応じた運行となるよう運営組織の支援を行うこと。

2) 【地域負担金の軽減】
持続可能な運営が欠かせないため、運営組織の経営支援を強化し、地域負担金の軽減を図ること。

3) 【市街地の交通弱者対策強化】
地域内交通の導入が計画されていない市街地部の交通弱者対策を充実させること。

 

6.幹線道路整備

1) 【渋滞対策の推進】
テクノポリス周辺地区の慢性的な渋滞を解消するため、宇都宮テクノ街道(2号橋)の4車線化、常総・宇都宮東部連絡道路宇都宮高根沢バイパスの早急な整備を、国や県など関連機関と連携のもと推進すること。

2) 【産業通りの整備】
土地区画整理事業が着実に進展していることから、産業通りの早期4車線化(歩道、自転車専用レーンの整備も含む)を目指し、国道123号線・鬼怒通り交差部の立体交差化等を含め、計画的な整備を実施すること。

3) 【都市計画道路】
都市計画道路の未着手区間については、計画の見直しも含め事業の見える化を図ること。

 

7.自転車のまちの推進

1) 【自転車法令の遵守】
道路交通法の遵守に向けて、市民への広報・啓発活動の充実を図ること。特に、自転車事故の割合が増加している高齢者や中高生に対する交通安全教育・指導の充実を図るとともに、安全運転義務違反に該当する携帯電話やヘッドフォンで音楽を聴く等の「ながら」行為(歩行者も含む)への指導強化を図ること。

2) 【ヘルメットの着用促進】
自転車事故が全国的に増加する傾向にあることから、ヘルメットの着用や、任意保険の加入等の指導効果に実効性を持たせるため、自転車に関する条例制定についても検討を行い、自転車のまち宇都宮に相応しい市民の育成を図ること。 また、ヘルメット着用指導の強化を行うとともに、購入助成制度の検討を行うこと。

3) 【自転車走行空間の整備】
自転車走行空間の整備は利用者の安全を第一に、道路空間の再配分も含め必要な幅員を確保する等、計画的な整備を行うこと。

4) 【サイクリングロードの整備】
鬼怒川、田川、山田川、姿川のサイクリングロード整備を計画的に行うとともに、休憩施設や自転車の駅の効果的な配置等、利用者の利便性を考慮した魅力的なサイクリングルートの整備を行うこと。

5) 【レンタサイクルの拡充】
レンタサイクルの貸出・返却場所が市営駐輪場に限られていることから、市役所や市民センター等の公共施設や、民間商業施設・観光地と連携した貸出・返却場所の拡充を図ること。
また、中心市街地へのコミュニティサイクル導入を検討し、気軽に自転車の共同利用ができる仕組みを拡充すること。

 


Ⅶ.行財政改革

1.財政運営

人口減少による税収の減少が見込まれる中、限られた財源の中で効果的・効率的な予算編成を行うため、行財政改革を引き続き行い、大規模な建設事業が見込まれる中でも、市民生活に直結する予算は着実に確保するとともに、基金のより積極的な積み増しを図ること。

2.新地方公会計制度への対応

平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての地方公共団体におい て、統一的な基準による財務書類等の作成が見込まれることから、固定資産台帳の整備や複式簿記導入への対応等に計画的に取り組むとともに、資産債務改革の目的に資する新会計制度の活用方法を検討すること。

3.人材育成・執行体制

複雑多様化・高度化する行政課題の解決を図るためには、各施策の実効性を高めなければならないことから、市職員の切れ目のない人材育成と、専門性の継承を継続的に行うとともに、技術職員の計画的な確保などを確実に行い、民間の活用を図りながら、効率的・効果的な執行体制を構築すること。
また、少子高齢社会において重要な役割を担う保健師等の計画的な増強を図ること。