一般会計予算案に対する討論

市民連合では、平成25年度よりLRT事業に係る一部予算に対し、反対の意思を示してきました。その理由として、平成25年度当初は、コンパクトシティ構想と都市計画にギャップがあり、郊外に大型住宅団地が造成されるなど人口密度の分散化が助長される状況の中、LRT導入を決定づけるべきではない、との判断に至ったからであります。以来、我が会派では、宇都宮市都市圏交通実態の再調査、交通円滑化方策、公共交通ネットワークの全体像の策定、JR宇都宮駅横断部の線形形状や負担金の精査、JR宇都宮駅西側も含めた区間全体での概算整備費の精査、全体需要の精査、交通結節点の整備事業など、LRTを整備することにより発生する附帯事業費の精査と明示を要求するとともに、一貫してまちづくりとの一体化策と市民意識の変革に向けた情報提供を求めてきました。

この5年間で市は、平成26年度 宇都宮市都市圏交通実態の再調査と、企業アンケ―ト調査を実施、 平成27年2月には、2050 年を見通した長期的なまちづくりの方向性を示した「ネットワーク型コンパクトシティ形成ビジョン」を策定し、平成28年8月には、鉄道,LRT,バス,地域内交通,自転車などの多様な交通手段による総合的な交通ネットワークの利活用をまとめた「交通未来都市うつのみや」を策定し、平成29年3月には、ネットワーク型コンパクトシティの具現化を進める上で重要な、都市機能誘導策や居住誘導策をまとめた「宇都宮市立地適正化計画」を策定し、「トランジットセンター及び周辺街区等の事業計画」の作成が開始されており、我が会派の指摘事項をクリアし、かつ、要望を盛り込んだ計画が策定され、それについては、一定の評価をするものであります。

現在、本市は平成30年4月からの「宇都宮市第6次総合計画」を目前に、今月20日には、国土交通省からLRT軌道敷設の工事施行が認可され、大きな局面を迎えています。本市が導入を計画するLRT整備事業は、事業単体のみの話ではなく、あくまでもネットワーク型コンパクトシティを形成する上での一つのツールであります。国内初となる新設軌道の設置と土地利用の適正化の双方に資する先駆的な事業であり、市民理解には相応の期間を要します。

去る3月7日、当会派では、今後は現実的な対応の検討が必要との考えに達し、平成30年度に本格的な事業の着工が予定されるLRT関連事業等に関し、市民や地域の抱える懸念に真摯に向き合うことを求めるため、市長に要望書を提出致しました。

その内容は、
 1.市民理解を着実に推進したうえで事業に着手すること。
 2.地権者に対する丁寧な対応を行うとともに、用地の取得や機能補償に対する情報開示を速やかに行い住民理解のもと事業を進めること。
 3.平石地区の停留所近隣地域に対しては地区計画を活かした地域振興策を当該地域の意見を反映し早急にまとめること。
 4.学校敷地が削減される平石中央小学校の機能補償を確実に行うとともに地域要望を踏まえた可能な限りの安全・環境対策を講じること。
 5.地域コミュニティの分断を懸念する声もあることから地域要望を踏まえた横断道路の設置を行うこと。
以上、5点であります。

私たち市民連合では、市執行部が限られた財源の中で最大限の工夫を図り、宇都宮市第6総合計画に掲げる6つの未来づくりに向けて、予算編成を行ったことについては評価しているところでありますが、これら5点の要望に対し、今後の市の対応を確認する必要があることから、現時点で予算案を容認することは時期尚早であるとの結論に至り、平成30年度一般会計予算案の原案に対し、反対するものであります。 

 

 3月7日 市長にLRT関連事業等に関する要望書を提出