本市では、まちづくりの指針となる「第6次宇都宮市総合計画」において、「ネットワーク型コンパクトシティ(NCC)が支える共生社会創出プロジェクト」を掲げており、「NCCの形成による都市構造と地域包括ケアシステムの連携」に関 する検討が進められている。
 当会派では、都市基盤と健康や福祉はどのような関係性があるのか、更には、地域間の健康格差と健康に生活できるまちづくりについて見識を深めるため、研修会を開催した。

日時: 平成30年10月5日
講演:「健康格差社会への処方箋 ~健康に生活できるまちづくり~」
講師: 近藤 克則 氏 
    千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門 教授
    日本老年学的評価研究プロジェクト(JAGES)代表
  
  

 

要  旨

 20年以上に及ぶ調査研究によって、健康格差は本人の努力だけでなく、環境に左右されているものも大きいこと、子どものときの貧困も大きな影響を及ぼしていること、子どもの貧困は高齢期の認知症リスクまで高めることがわかってきた。
また、近くに公園がある地域の介護認定率は低い、公共交通が充実している都市・歩く人が多いまちは認知症リスクが低い、ボランティアをする人や団体役員は健康長寿が多いなど、社会活動に参加することが効果的であることも判明した。
 健康は自己責任や必要悪として放置しておいてよいものでしょうか? 
 対策を講じるべきだとしたら、何をどのようにすればよいのでしょうか?
 これまでの調査結果から導き出された「健康格差社会の処方箋」は、事故(病気や介護)が起きてから貧困に陥るのを防ごうという考え方から、人の持つ潜在的な力を引き出せるように環境も改善して事故(病気や介護)そのものが起きないよう予防を推進する「0次予防」である。「0次予防」は、社会が超高齢人口減少社会へと大きく変わるときの新しい社会保障といえる。

感  想

 健康寿命の延伸には「予防」に力を入れることであり、そのためにはまず、行政データから地域診断を行い、その結果 を「見える化」して地域へ公表し、科学的根拠に基づく地域課題を共有することが重要であり、行政は地域に必要な都市 基盤をより的確に整備することで、本市が目指す「NCCと地域包括ケアシステムの連携による共生社会創出」が着実に図 られるものと確信した。尚、当研修会は全議員及び執行部にも案内し、40名以上の参加があった。
 →JAGESプロジェクトの「地域診断」に関しては、3月と9月議会に福田智恵議員が、また、12月議会に小平美智雄議員が質問するとともに、会派予算要望の重点項目とした。